して、今の現状を打破するために、
僕は所長の指示を実行することにしました。

 

まずは、Y氏にネタ仕込みから。

 

Y氏:「マジでそんなことするのかよ~バカじゃないの?」
僕:「やりたくないんだけど…とりあえず頼むよ?」

 

Y氏は東京で唯一の親友と呼べる人で、何でも言える仲。
僕にとっては、大事な大事な存在です。
こんなお願いすることが出来るのも彼だけでした。

 

そして、実行・・・

 

現場の隅っこからY氏がいるところまで喉が潰れるくらいの怒鳴り声で・・・

 

「おいっ!誰の指示でそこにいるんだよ!!!」

 

Y氏:「・・・」

 

現場には正社員を含めれば300人以上いたと思います。

 

みんなが僕を見ました。
そして、すぐにY氏を見ます。

 

口から心臓が出るとはきっとこんな心境なんだろうなぁ~と。

大声を出した後は、隣の現場に逃げるように走りました。

あの時の心境を四字熟語で表すならこんな言葉が当てはまるのかな?

 

「無我夢中」

※ある一つのことに自分の心が集中し、他のことが一切考えられなく、その一つのことだけにとらわれてしまうこと。

 

もし、所長の指示を無視して逃げていたら、
僕自身一生後悔していたかもしれません。

 

そして、今の僕は存在しません。

それだけ、この怒鳴りは一生を変えたと言っても過言ではありません。

 

・・・もしかしたら、あなたと僕では意見が違うかもしれませんが、
考え方は人それぞれであって価値観も違うわけです。

 

なので、この方法が本当に正しかったのか?と言うのも答えは分かりません。

 

ただ、僕自身、そのときは必死でした。
現場が円滑に回らず、どーしても何かをしなければ生産性が落ちるのです。

 

必死でした。
藁にもすがる思いでした。

 

そこで、所長の提案・・・

 

所長と言う立場。

 

必ず、酸いも甘いも経験してきているはずです。こんなしょうもない僕の悩みなんて経験してきているはず。なので、経験者は語るではないですが、人間、必死に「仕事」を全うすると目の色が変わります。

 

また、今まで経験した事のない世界「怒鳴り」。

 

これも、この仕事をしていたからこそ経験できたのだと、今は、前向きに捉えています。

 

【現場は僕の思い通りに…】

怒鳴ったことによってその後にどうなったか?

 

案の定、所長が言った通りの結果になりました。

 

部下たちは、僕を避け、わがままを一切言わなくなり、
僕の視線を気にするようになり現場は円滑に回るようになっていきました。

 

所謂、これを・・・

 

「恐怖で縛り上げる」

 

僕は、常に社員と所長からこんな言葉をかけられてきました。

 

お金を稼ぐ為に働きに来ているのだから一生懸命働くのは当たり前。もし、やる気がないなら辞めるしかない。

 

この「言葉」、あなたにはどう響きますか?

 

僕は、間違っていないと思っています。
でも、あなたは反論するかもしれません。

 

それは、それで考え方の違いなので否定はしません。

 

現場での地位を不動にした僕は、一つだけ悩みがありました。
その悩みによって眠られない日々を過ごすことになるのです。

 

【勝手な被害妄想】

まだまだ未熟だった僕は、
怒鳴ったことで、周りの目が異常に気になり出したのです。

 

  • あいつらコソコソなに話してるんだ?たぶん俺の悪口だな!
  • あいつなんか俺に言いたそうだな!!
  • 何、反抗的な目しているんだ!!!

 

はい!

 

勝手な被害妄想です。

 

正直、頭がおかしくなりそうでした。

 

今までの環境を変えるってこんなにも大変なことなのか?

・・・怒鳴ったことに後悔したときもありました。

 

でも、もう後には引き返せません。

 

引き返すなら仕事を辞めるしかない。

 

僕は意地で仕事を辞めませんでした。
ここで辞めたら、なにか大きなものを失う気がしたのです。

 

まだ、まだ、僕はひよっこ。
だからこそ、なにか大きなものを得らなければならないと思っていた。

 

その得るもの・・・なんなのかは分かりません。
しかし、20代後半にかけて大きく成長している自分は感じられたのです。

 

だから、辞めるわけにはいかない!

どーしても。

 

そして・・・

 

この所長についていくしかない!

 

なぜなら・・・

 

48才の所長が、カッコイイと思ったから。

 

男が男をカッコイイと言うと、勘違いされそうですが、僕のカッコイイは、

 

「この人みたいになりたい」願望です。

 

誰でもあると思うのですが、
生き方からファッション、そして知識・・・

自分の知らない世界を知っている人って興味がありませんか?

 

もし、そんな願望がない人がいるなら非常に残念です。
自分の成長を自ら止めているのだから・・・

 

仕事を意地でも辞めないと心に誓った僕は、少しずつですが、被害妄想の呪縛から解放されていき一回り大きくなったことを自ら誇らしく思ってきました。

 

第1章:仕事の楽しさを東京で知りました。
第2章:リーダーは、身長165cmで丸メガネ、天然パーマで前歯無し!
第3章:こっち側の世界に来い!
第4章:おまえは優しすぎるんだよ!
第5章:おいっ!誰の指示でそこにいるんだよ!!!←今はココ
第6章:まさかの…工場閉鎖
第7章:こんなにも違うのか!閉鎖での工場長と課長の人生
第8章:次の仕事はまさかの本社勤務の営業
第9章:所長との出会いが人生の財産、そして分岐点に・・・